だが、この提案の是非は別として、教える内容を豊かにするために税金を有効に使うことも、教育改革の議論に取り入れてほしい論点のひとつである。
この点は強調しておきたい。
2001年も受験シーズンが終わろうとしている。
受験生にとっては、合格発表に一喜一憂する季節だが、いまや受験生から選ばれる側にまわった大学には、喜びよりも頭の痛い季節である。
合格内定者のどれだけが実際に入学してくれるか、歩留まりに頭を悩ませる大学や短大が増えつつあるのだ。
この数年、大学関係者の間では、入試シーズンが終わると、どの大学が定員割れを起こしたのかが話題となる。
今年の結果はまだわからないが、2000年の実績で言えば、Rクルート社の調査に回答した大学のうち、4年制大学の12%、短大だと35%が定員割れを起こしている。
情報を公開しない大学や短大が増えているところから、実際にはこれ以上の定員割れ大学.短大が存在すると推測される。
18歳人口の減少が、「大学淘汰の時代」(K多村和之氏)をもたらすことは、すでに100年以上も前から言われてきた。
第2次ベビーブーム世代が18歳を迎えた1992年の20六万人をピークに、18歳人口は2001年には151万人へと減少した。
今のところ、大学や短大がつぶれたという話も、定員割れの話も、一部の大学関係者を除けば、マスコミが注目するような話題にはなっていない。
それと言うのも、18歳人口が減少期に入ったとはいえ、この数年間は150万人台の小康を保ってきたからである。
ところが、今後ほぼ3年ごとに、10万人ずつ減り続ける。
その結果、8年後の2009年には今より31万人も少ない10万人となる。
まさに、M科省が予測した、選ばなければ全員がどこかに入学できる「大学全入時代」が目前に迫っているのである。
景気の動向によっては、家計の不安から進学率が予想通りに上がらず、全入時代が前倒しに到来することもありうる。
本当に大変な時代はこれから本格化するのである。
しかも、18歳人口の急減という動かしがたい未来は、どの大学が生き残れるかという問題以上に、日本の教育全体に、ひいては日本社会に大きな影響を及ぼす。
教育をめぐる諸改革の可能性も限界も、この動かしがたい未来予測を前提にすることで、その輪郭がより明瞭に浮かび上がるのである。
たとえば、2002年から始まる新学習指導要領の影響も、大学全入時代の到来を背景に考える必要がある。
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